世にも不思議な損保の世界

現役損保社員として20数年、業界に対して思うこと、保険やお金に関する話を面白おかしくつづります。

溶ける車

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当時私が担当していた輸入車ディーラーでの話です。

営業マン同志が「あの車溶かしただろう」「ええ」みたいな会話をしていました。

 

「車を溶かす」って何のことだろうとその営業マンに聞いてみました。

「車を溶かすっていうのは下取車を横流しすることだよ」とのこと。

 

本来そのディーラーで働いていればそのディーラーで下取りするのが普通です。

特にそのディーラーは正規ディーラーで中古車も扱っていましたから。

本来であれば下取車を中古車として再度販売するのが当然です。

 

「何故下取りにしないのですか?」と私は聞きました。

「そりゃ業者からバックがあるからでしょ」と言われました。

会社で下取りするより業者に流した方が営業マンの個人の収入になるからです。

 

一般的に自動車ディーラーの社員の定着率は低いです。

皆、歩合給の割合が高いのでとにかく毎月の収入が優先で売れなくなったらやめます。

そのディーラーでも、とにかく在籍中に稼ごうという意識が強かったです。

 

営業マンもそんな意識ですし、マネージャーも課の販売台数が優先です。

営業マンが車を溶かしても販売台数が稼げればそれでいいんです。

 

ディーラー自体もメーカーとの契約でとにかく販売台数稼ぐことで頭が一杯でした。

年度末は自社登録、つまり自社で車を買ってでも販売奨励金を取りに行っていました。

それでも販売奨励金の魅力の方が大きかったんでしょう。

 

そんなディーラーですから損保社員への購入圧力も結構強かったりします。

私もある年度末車を買うことになりました。

輸入車なので結構高額でためらいはありました。

 

でも営業数字は上がるし、悪くはないと腹をくくっていました。

ある日、所長に「さて、どの車にしましょうか?」と聞きました。

カタログを見せてもらって相談するイメージを持っていました。

 

ところが所長は「あ、あそこに停まっている車」と言いました。

「?」言われたことが一瞬分かりませんでした。

所長は在庫車が停まっている車庫の方向を指していました。

 

私は長期在庫の左ハンドル車を買うことになりました。

もちろんその後何年にも渡って高額のローンを払うことになりました。

しかも私の担当になった営業マンはその後しばらくして退職していきました。

保険をたくさん扱ってた彼の契約を切り替えようと思った私の当ても外れました。

 

皆さん、どう思われますか?

怒涛のゴルフコンペ

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当時のディーラー営業では年に2回ゴルフコンペがありました。

コンペ名は部長の名前を冠して〇〇杯という名称でした。

ゴルフが下手だった私には苦い思い出です。

 

ディーラー営業は接待営業の王道ですからゴルフがうまい人が多いです。

そんな中でゴルフ嫌いの若手の私は毎回ブルーな気持ちで参加していました。

でも不参加は体育会系の営業部では許されませんでした。

 

当時はまだバブル期の影響が残っていて1ラウンド4万円とか掛かりました。

様々なことでお金がなくなるディーラー営業ですが、この負担も大きかったです。

 

なかでも一番嫌だったのは毎回幹事をやらされることです。

コンペでは毎回優勝者とブービー賞が幹事をやることになっていました。

優勝者は上手な管理職の方です。

毎回の結果でハンデが決まるのですが、中にはマイナスの人までいました。

 

一方、ブービー賞と言えば経験の少ない若手の役回りでした。

私も相当ヒドかったのですが、どうしても下回ってくる先輩が1名いたのです。

この人、いつも160くらいで回っていました。

やむなく私は毎回ブービー幹事でした。

 

ところが優勝者の管理職がまともに幹事をやるはずもありません。

毎回日程の設定、コースの予約などいろいろ周囲にお伺いを立てて実施しました。

また優勝カップ、商品の差し入れの取りまとめなど準備も多くありました。

このあたりも営業ですから、内輪であろうと手抜きは許されません。

 

この準備のなかでも馬券対応というのが一番大変でした。

毎回競馬風に出走表を作成して周りの部外の人達にも売りに行くというものです。

 

ところがこの馬名作成が大変でした。

部内で盛り上がるような馬名を全員分作成してコメントもつけないといけません。

それを先輩社員に見てもらって承認をもらうのですが、GOサインはでません。

結局いつも深夜まで頭をひねりながら作っていました。

もちろん馬券の配布と集金、分配も仕事のうちでした。

 

当日はもちろん誰よりも朝早く起きて現場に乗り込みます。

受付作業を滞りなく実施するためです。

絶対朝寝坊できないプレッシャーは相当のものでした。

いつも4時半起きくらいだったと思います。

 

もちろんプレーは1組目です。

1組目は部長と同じ組ですので気が抜けません。

一度ラウンド中、談笑していたら、その間に部長がティーショット。

打ち下ろしのホールで池ポチャしてしまいました。

 

あからさまに「お前のせいだ」と言わんばかりのニラみ。

「あちゃー」と思いましたが、後の祭り。

その後暗いラウンドが続いたのは言うまでもありません。

 

18H終わったら一番先に上がって終了後のパーティーに備えます。

風呂なんて当然入れません。

集計作業が間違えることなんてあり得ません。

 

こうしてゴルフの1日が過ぎていきますが、

最後やっぱりブービーになったときの脱力感は半端ではありませんでした。

 

お陰さまでゴルフの幹事に関しては結構プロレベルになりました。

その後ディーラー営業も離れ、ゴルフの機会もめっきり減りました。

最近はたまに参加するコンペの仕切りに「甘いな」と思っています。

 

皆さん、どう思われますか?

 

 

 

 

解約手続き代行します

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当時担当していた中古車店の話。

 

そのディーラーは自動車保険に相当力を入れていました。

トップ自ら各営業所の日報に目を通し、成績が悪い営業マンに電話をするくらいです。

実際保険の切替のやり方も凄いものでした。

 

普通自動車保険の切替は満期で行います。

ディーラーはお客様の満期情報をつかみ、満期まで待って切り替え手続きをします。

でもそのディーラーはそんなまどろっこしいことはしません。

 

納車のタイミングで新しい保険に入らせます。

従来入っていた保険はそのタイミングで解約させるのです。

満期まで待っていられない、ということです。

 

割引等級自体は引継ぎできるので、大きく損をするわけではありません。

でも満期まで待てば1つ等級が進むのでその方がお客様のためかなとは思います。

でも本当の問題はそこではありません。

 

現在の契約の解約手続きをどうするのか。

ここに損保会社が大きく関わっていたところです。

 

損保社員は各社の承認請求書、つまり解約の申込書を各拠点に備え付けます。

担当者が他損保の営業店に行ってゲットするのです。

 

ディーラーの営業マンはお客様の自動車保険の証券を預かり、解約を代行します。

損保社員から配布された承認請求書にディーラー備え付けの印鑑で捺印、署名します。

そしてそれがディーラーの保険課経由で損保会社に提出されます。

 

受け付けた損保は証券と署名捺印された承認請求書を他損保に郵送するのです。

お客様は解約する意向はあるものの、手続き自体をディーラーに丸投げです。

お客様の手を煩わせることなく解約手続き完了です。

 

これ今やったら一発アウトです。

だって署名も捺印も本人のものじゃないわけですから。

恐ろしいですよね。

 

皆さん、どう思われますか?

プロレスラーはベンツがお好き?

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担当していた輸入車ディーラーの話。

 

訪問していた時、展示車にどこかで見たことのある人が。

それは有名なプロレスラーでした。

それも大きいことで有名なプロレスラー。

 

そんなレスラーが展示車に乗り込んでいました。

その車は何とメルセデスベンツのCクラス!

いやいやいや、そりゃダメでしょ。

 

前から見るとフロントガラスは全てその人。

運転席も助手席も全部その人。

おまけに頭は天井に突き刺さっていました。

車体もかなり沈んでいるような。

 

やはり買わなかったそうです。

そりゃそうでしょう、定員1名になりますから。

 

プロレスラーつながりでもう一人。

当時プロレス業界は老舗団体からガチンコ系に人気が移っていました。

そんな中でも超有名なレスラーが展示車を見ていました。

 

結局SクラスとCLクラスを2台大人買いしたようです。

売れてるプロレスラーは儲かるんだなと思いました。

またデカい人はデカい車に乗るべきだと思いました。

 

たまには役得もあるもんです。

プロレスラーに限らず有名人はベンツがお好き。

他にもたくさん芸能人やスポーツ選手のお客さんがいました。

 

今回は特にオチもありません、失礼しました。

 

皆さん、どう思われますか?

トレンディ女優の免許証

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事務所にいた時のことです。

 

事務所の向こうの方で歓声が上がっていました。

私は何だろうと思って駆けつけました。

そこには当時トレンディドラマ(古い!)に出ていた有名女優の免許証コピーが。

 

先輩が説明してくれました。

担当していた輸入車ディーラーで免許証コピーをもらったんだと。

有名人だけに周囲に人だかりができていました。

 

何故免許証のコピーをもらったのか。

それは確かに本人であることの確認のためでした。

 

自動車保険は一定の親族間の場合、割引の権利を引き継ぐことができます。

自動車保険の無事故割引が引き継げるというわけです。

親から無事故割引を引き継ぐというのはよくある話です。

 

ところが2回これを繰り返すと一定の親族を超えてしまうことがあります。

赤の他人に引き継がれることを防止するためです。

こうした行為を防ぐために短期間で保険の名義を変えた場合、

免許証コピーなどを提出してもらい、本人確認を実施します。

 

今回、この本人確認のための免許証コピーが提出されたのです。

理由はその女優が結婚したものの、すぐに離婚して旧姓に戻ったからでした。

 

今だったら個人情報漏えいだってえらいことになります。

でもその時はそんな法律もないし、何でもありでした。

おおらかな時代ですよね。

 

皆さん、どう思われますか?

バブルがはじけた芸能人

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輸入車ディーラーを担当していた時のこと。

 

そこのNo.1営業マンのお客様に一世を風靡した芸能人がいました。

そこで車を買うだけでなく自動車保険にも加入してくれていました。

ある時そこで買った車ではない自動車保険の見積依頼が来ました。

 

証券を見ると前年の引受は300万円と、結構古いしそんなもんかな。

そして査定額を調べようとしたのですが、データがない。

中古車市場に出ていないので現在の価値が分かりません。

 

データがない時には新車価格から計算していきます。

新車価格はと・・・、3,000万円!当時100台だけ作られた限定モデル!

調べた結果、時価300万円は妥当なところだったのでそのまま引き受けました。

 

うーん、3,000万円で買った車がバブルがはじけて300万円か。

オーナーも昔は売れっ子でしたが最近全然見ないし、車の価値と連動しているな。

この時妙に納得した気持ちだったのを覚えています。

 

この人は事故を起こすこともなく、会うことはありませんでした。

優良契約者ですね。有難うございました。

 

すみません、今回の話はこれだけです。

 

皆さん、どう思われますか?

 

浮気していた芸能人

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当時担当してた輸入車ディーラーの話。

 

とある有名芸能人がそこで車を買い、自動車保険の契約もありました。

ある時、その車で車両単独事故が発生したとの連絡がありました。

時間は深夜、場所は都内高級ホテルの駐車場。

 

深夜の事故の場合、飲酒運転が想定されるので調査が入ります。

今回のケースも当然のことながら調査が入りました。

 

事件はそこからでした。

ディーラーの営業担当者から「調査はやめてくれ」と電話が入りました。

「彼はお酒は飲めない。自分が保証する。だから調査に入るのはやめてくれ」と。

 

営業所に訪問した私は「別に変な調査じゃないですよ」と答えました。

「いや、わかるだろう。コレだよコレ」と相手は小指を立てました。

そう、ホテルに奥さん以外の女性と一緒にいたらしく、調査はマズいとのこと。

 

私は帰社し、その旨損害部門の担当者に伝えました。

営業の要請として「お願いだから調査はやめてくれ」と。

理由は忘れましたが、正直に話をしたら調査はなしになりました。

 

ディーラー営業やっているとこんなことは日常茶飯事です。

 

皆さん、どう思われますか?