世にも不思議な損保の世界

現役損保社員として20数年、業界に対して思うこと、保険やお金に関する話を面白おかしくつづります。

怪しげな代理店の存在

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今回の話は私ではなく、当時の後輩の話です。

その後輩はとにかくたくさんの代理店を担当していました。

私もたくさん担当していましたが、その後輩もかなり多かったです。

 

ベテランの担当者はあまり担当を持たず、

課の運営や重要顧客を担当するという分担となっていました。

だからと言って仕事量が多いかというとそうではないのですが(笑)

 

その後輩の担当する代理店名は建物の名前が多かったのです。

株式会社〇〇〇(〇〇〇は建物の名前)となっていました。

何だか不思議だなと思って当時その後輩に聞きました。

 

「自社建物の火災保険を取るためですよ」との回答でした。

「あれ?それっておかしいんじゃないの?」と聞き返しました。

「そうなんですよね、でも昔からあるので」という回答。

 

通常代理店は外販することが業務なので自社物件の取り扱いには制限があります。

具体的に扱い保険料の50%以上外販でないと代理店解約となってしまいます。

自己の物件や親会社等一定の企業や親族の保険を取り扱うことを目的にできません。

これは保険業法の取り決めです。

保険料の割引目的のために代理店をやってはいけません、という主旨です。

 

いろいろ聞いたり調べたりしてすごいことが分かりました。

代理店の名前かつ建物の名前は第三セクターの建物の名前です。

いわゆる「箱物(ハコモノ)」というやつです。

 

第三セクターとは国や地方公共団体と民間が共同出資して事業を行う方式です。

バブルの時に大流行しました。

結局経営が成り立たず、大赤字を出したものがほとんどです。

 

高層ビルや遊園地などを作ったものの、ほとんど失敗しました。

当時から経営状態が思わしくありません。

せめてもの手数料収入といったところなのでしょう。

自社の火災保険や賠償責任保険、自動車保険などを掛けていました。

 

でも外販なんてできるはずがありません。

すぐにでも自己契約の比率が50%を超えて赤字になってしまいます。

ではなぜそれができていたのか?

 

何と第三セクター同士で契約のバーター(交換)をしていたからです。

一目見ただけではどういうやり取りをしているか分かりません。

第三セクターもたくさんありますから。

 

ところがその後輩のところにはそのやり取りの表がありました。

それを見るとバーターの流れが分かるようになっています。

歴代の担当者の努力と汗の結晶です。

自分の担当の時にその代理店がなくなると成績が悪くなりますから。

 

でも法令ギリギリというか本来アウトな話ですよね。

その後次々と経営破たんしたのでそんな代理店も自然消滅したことでしょう。

皆さん、どう思われますか?