世にも不思議な損保の世界

現役損保社員として20数年、業界に対して思うこと、保険やお金に関する話を面白おかしくつづります。

市役所の保険

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当時の課では市役所の保険を扱っていました。

建物などは共済で入っていることも多かったのですが、

それでも結構な金額の保険料をもらっていました。

 

例えば自動車保険

市役所全体では何十台、何百台という台数の自動車がありますから

かなりの保険料規模になります。

 

ただ役所ですから好きな保険会社で好きな保険料で入るわけにはいきません。

こういうのを随意契約と言いますが、世間でも問題になっています。

当然入札という手続きを踏んで契約する必要があります。

 

当時まさに自動車保険が入札に掛けられることになりました。

我々の課としても何とか欲しい。

でも何社も入札する中で落札するのは極めて難しいです。

中にはダンピングみたいな入札をする保険会社もいますので。

 

ただ当時我が課と当該市役所は極めて緊密な関係がありました。

市役所の重鎮OBを採用していたからです。

OBもこういう時のためにいると言っても過言ではありません。

 

結果、落札することができました。

もちろん保険料が一番安かったわけではありません。

では何故落札できたのか。

 

それは総合入札制度というものを提案し、採用されたからです。

 

自動車保険たるもの保険料だけで選んではいけません」

「市役所の自動車保険は安心できる保険会社から入る必要があります」

というお題目の下、財務状況とか損害拠点の数とかを項目に入れます。

もちろん自社に有利に働くものばかりです。

 

もちろん総合入札制度の導入にあたってはそのOBが暗躍します。

ですから総合入札制度が導入された時点で勝ちです。

結局市役所としても毎年保険会社が変わるのも大変ですしね。

 

ただ役所として求められる公平性みたいなものはどうなのかなと思います。

外から見れば入札の条件が提示されているので一見公平に見えます。

 

そう言えば最近獣医学部の開設にあたって似たような話題がありました。

近くに獣医学部がある地域には開設すべきではない、みたいな。

当時外から見れば一見公平なルールに見えたのでしょうね。

 

皆さん、どう思われますか。