世にも不思議な損保の世界

現役損保社員として20数年、業界に対して思うこと、保険やお金に関する話を面白おかしくつづります。

良く分からないのに入る保険

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生徒総合保障制度、学生総合保障制度。

これって何の保険だと思いますか。

しかもいったい何が総合なんでしょう。

 

私は学校マーケットにも携わっていました。

そこで中心となるのがこの保険。

何の保険かと言うと学校に通う子どもの傷害保険です。

 

補償内容は子どもの傷害保険に加え、

賠償事故に備えた賠償責任保険、

そして扶養者である父親、もしくは母親が万が一の際に

死亡保険がついているといった内容です。

いろんな保障がついているから総合保障制度というわけです。

 

この保険は子どもである生徒もしくは学生が入学した際、

特に受験してやっと受かって喜んでいる親に売る保険です。

入学の時期に加入パンフレットが配布されます。

 

パンフレットには校長先生や学長先生みたいな人が

写真付きで「ぜひ加入しましょう」みたいに書いているので、

親御さんは何だかよく分からないうちに入るのです。

 

パンフレットにはもれなく郵便振替用紙が入っていて、

親が郵便局で何万円か振り込めば手続き完了です。

卒業するまで補償が続きます。

 

実際私も自分の親が私に保険を掛けていたのを知らず、

卒業後何年もたって親から知らされました。

学生時代知っていたら使う機会もあったかも知れません。

 

傷害保険といったって実際ケガをして保険を使うのは

一部の運動部や体育会に加入している人に限られますし、

親が万が一の場合と言っても死ぬなんてめったにありません。

しかもその多くはケガで死亡の際に限られますから、

実際払われるのって交通事故死くらいしかないですよね。

学生時代に親御さんが交通事故死した人って周りにいましたか?

 

そんなわけでこの生徒総合保険、学生総合保険というのは

保険会社にとってドル箱保険でした。

自動車保険なんかだと損害率60%、

つまりもらった保険料のうち60%を支払いますが、

この保険だとせいぜい20%しか支払いません。

女子校だともっと低くなります。

 

そんなわけでやればやるほど儲かる保険でした。

ですのでやってない学校を開拓していくのが私の仕事。

とにかく数多くの学校に行きました。

 

結構稼いだな、というのが正直な感想です。

入っていた人も多いんじゃないでしょうか。

 

皆さん、どう思われますか?