世にも不思議な損保の世界

現役損保社員として20数年、業界に対して思うこと、保険やお金に関する話を面白おかしくつづります。

不公平な保険

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次に取り掛かったのは野球の保険です。

全国の高校野球部を対象にしており、保険料規模も数千万円単位でした。

 

さて今年の満期はいつで、内容はどんなものかな?

練習中にボールが飛んで近くの車にぶつかって窓ガラスを割ったら下りると。

ボールが人にあたってケガをさせたら下りると。

 

大丈夫なのかなこんな保険引き受けて、というのが率直な感想でした。

そもそもグラウンド周囲にネットを張るとか、それなりにやることがあるのでは。

予想はだいたい当たっていました。

 

事故の内容を調べると特定の学校が同じように保険金請求をしていました。

ボールがネットを超えて駐車中の車のボンネットにあたってへこんだ。

同じように学校の窓ガラスを割った。

 

安全防止対策をするより数万の保険料払った方がいいんでしょう。

その野球部としては毎年支払う保険料(掛け金)よりもらう保険金の方が多い。

何ておいしい保険なのでしょうか。

 

でも全体としては採算が取れているのでよしとしていました。

圧倒的に保険料(掛け金)を払うだけの野球部が多いから成り立っているのです。

 

グラウンドが狭くて安全策が十分取れない野球部は掛け金を高くして、

しっかりしている野球部は掛け金を低くするなどにしないと不公平ですよね。

何となく割り切れない思いをしつつもその年の準備をした記憶があります。

 

でもこの保険の本当の問題はここではなかったのです。

皆さん、どう思われますか?

恐ろしい空港の保険

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赴任早々、とある空港の何千万もの保険の満期が到来。

種目は火災保険、賠償責任保険、海上保険、運送保険・・・、

何じゃこりゃー(怒)

 

そもそも個人の火災保険の保険料の出し方すら分からないのに。

いきなり空港の、しかも本部照会、本部稟議になる特殊な保険。

でも満期は迫っており、早く動き出さないと。

 

ここから毎日睡眠時間を削って対応していくことになりました。

まずは保険の基本の勉強。自宅に持ち帰ってひたすら勉強。

土日なんてあるはずがありません。

 

計算式は担当者に代々引き継がれているエクセルの表。

本当に計算式合ってるのか?間違ったらえらいことだよな。

遠方に行ってしまった前任者にもいろいろ聞きながら作業を進めました。

 

取りあえず見積ができたら課長の承認の上、本部に稟議。

特約はどうするんですか?、割引はどうするんですか?

途中契約者にいろいろ言われ、毎回必死でメモを取って宿題に。

冷や汗をかきながらも無事完了しました。

 

始まりから終わりまで1ヵ月以上経ってようやく完了しました。

全て終わったときはまさに頭の中は真っ白、しばらく脱力感が続きました。

ところが別に周囲は何事もなかったかのように流れていきました。

そう、ここは企業営業。そんなことは当たり前。

 

これからはじまる地獄の序章でしかありませんでした。

ほっとしたのもつかの間、新たな試練が来ることになりました。

皆さん、どう思われますか?

保険のことが分からない

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約6年のディーラー営業を経て新しい職場に赴任しました。

新しい職場は主に公的機関や企業を相手にする営業でした。

 

心の中ではやっと心とお金がすり減るディーラー営業から解放された、

これからは常識が通用する相手に普通の仕事ができるぞ、と思っていました。

 

赴任して前任者から引き継ぎを受けました。

うんうん、そうそう、仕事ってのはこういうふうにアカデミックであるべきだよね、

と少しウキウキしながら話を聞いていました。

 

ところが少しずつ心がザワついてきました。

引継ぎの中でここの企業火災保険は・・・、あそこの団体傷害保険は・・・、

火災保険?傷害保険?団体保険?

 

そうです。

私はずっとディーラー営業をやっていたのです。

自動車保険自賠責保険以外分かりません。

 

たまに火災保険が出てきても当時は規制に守られて同じ保険料でしたので、

「火災保険は前と同じ保険料ですよ」と答えていました。

ゴルファー保険が出てきてもパンフレットに保険料が記載されていました。

 

これはマズい、困ったぞ。

その日から新人に逆戻りすることになりました。

それからしばらく引継ぎの日々で前任者と代理店訪問をしました。

 

言っていることが分からない。

相手は当然保険会社の人間は全部分かっていると思っています。

これは本当にマズいと思いました。

 

私はまた新人からの出直しでした。

毎日知らない保険を勉強することになりました。

しかも今度の場所の先輩社員は結構ドライでした。

私は途方に暮れることになりました。

 

皆さん、どう思われますか?

 

 

 

 

明るい未来

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結局、新入社員時から約6年ディーラー営業に関わりました。

素晴らしい人も多く、勉強になることも多かったです。

ディーラーの営業マンとも個人的に仲良くなることも多く、

今でも交流が続いている人もいます。

 

ただ仕事自体はディーラー側からは下に見られていて、

少しでも隙を見せると大変な事態になることが多かったです。

ちょっとした対応ミスでテリ変(担当拠点が他損保になること)は日常茶飯事。

精神衛生上良くなかったことも確かです。

 

しかも車を短期間に乗り換えたために転勤の際には数百万のオーバーローン、

つまり現在乗っている車の価値より自動車ローンの金額が多く、

車を処分してもローンが残る状態になっていました。

 

辞令を受けてに転勤を言い渡されたときは正直ほっとしました。

きっと次の職場はもう少し落ち着いて仕事ができるはずだ、

長年乗って車のローンを完済してやろうと心に誓っていました。

 

しかし希望を持っていた次の場所でも新たな苦難が待ち受けていました。

その話は次回以降またお伝えしていきたいと思います。

一旦ディーラー営業の話はここで終了です。

 

また思い出したら気ままに綴っていきたいと思います。

 

皆さん、どう思われますか?

ディーラー営業の恋愛事情

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ディーラー営業部の仲はとても良かったです。

その後いくつかの部署に転勤しましたが、どこよりも一体感がありました。

その仲の良さから禁断の恋もいくつかあったようで。

 

同じ課の中で付き合っているケース。

男性側は妻帯者、女性側は独身。

普段はあまり目立つことはなく、普通に仕事の会話をしています。

ところが仕事外になると男性側の行動がおかしくなります。

 

会社の飲み会の場になるといつも近くから見守っています。

見当たらなくなると「〇〇はどこに行った?」と慌てます。

誰かが口説いているんじゃないのか?と気になるようです。

そして1次会が終わると2人で消えていきます。

 

部のコンペでも必ず一緒に車でやってきます。

カモフラージュなのか他の人も載せたりするのですが、周囲にはバレバレです。

 

隣の課同志の妻帯者&独身女性というパターンもありました。

良く会社帰りの時間を合わせていました。

休日の目撃証言も散見されました。

 

いずれも大きな問題になることなく終わったようです。

どうやって終わったかまでは分かりません。

ただ周囲も分かっていながら大きな問題になることもありませんでした。

部の一致団結力がなせる業でしょうか。

 

でも1件だけ大スキャンダルになった事件がありました。

 

ある日部長が朝礼で、「〇〇君(隣の課長)は長期研修の為しばらく休暇だ」と。

いまさらその年次で長期研修?、しかも休暇扱い?

私は何のことか理解できませんでした。

 

ところが後から話が漏れ伝わってきました。

どうやら自分の部下の女性をホテルに連れ込んだらしいと。

その女性が人事に駆け込んだのだと。

 

結局、しばらく後にその方は依願退職しました。

部長に昇格した直後の話だっただけに本人はさぞ無念だったでしょう。

 

一方、その女性はそのまま普通に働いておりました。

しばらく後に本店に転勤となっていきました。

 

その女性が少し変わった人だったのでその人に対する同情的な雰囲気がありました。

でも冷静に考えればこの措置は当たり前のような気もするのですが。

それだけ部の結束力が強かったのでしょうか。

 

禁断の恋に関しても大らかだったのかも知れません。

別の課の課長が課のスタッフさんとデキて結婚したケースもありました。

 

皆さん、どう思われますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

溶ける車

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当時私が担当していた輸入車ディーラーでの話です。

営業マン同志が「あの車溶かしただろう」「ええ」みたいな会話をしていました。

 

「車を溶かす」って何のことだろうとその営業マンに聞いてみました。

「車を溶かすっていうのは下取車を横流しすることだよ」とのこと。

 

本来そのディーラーで働いていればそのディーラーで下取りするのが普通です。

特にそのディーラーは正規ディーラーで中古車も扱っていましたから。

本来であれば下取車を中古車として再度販売するのが当然です。

 

「何故下取りにしないのですか?」と私は聞きました。

「そりゃ業者からバックがあるからでしょ」と言われました。

会社で下取りするより業者に流した方が営業マンの個人の収入になるからです。

 

一般的に自動車ディーラーの社員の定着率は低いです。

皆、歩合給の割合が高いのでとにかく毎月の収入が優先で売れなくなったらやめます。

そのディーラーでも、とにかく在籍中に稼ごうという意識が強かったです。

 

営業マンもそんな意識ですし、マネージャーも課の販売台数が優先です。

営業マンが車を溶かしても販売台数が稼げればそれでいいんです。

 

ディーラー自体もメーカーとの契約でとにかく販売台数稼ぐことで頭が一杯でした。

年度末は自社登録、つまり自社で車を買ってでも販売奨励金を取りに行っていました。

それでも販売奨励金の魅力の方が大きかったんでしょう。

 

そんなディーラーですから損保社員への購入圧力も結構強かったりします。

私もある年度末車を買うことになりました。

輸入車なので結構高額でためらいはありました。

 

でも営業数字は上がるし、悪くはないと腹をくくっていました。

ある日、所長に「さて、どの車にしましょうか?」と聞きました。

カタログを見せてもらって相談するイメージを持っていました。

 

ところが所長は「あ、あそこに停まっている車」と言いました。

「?」言われたことが一瞬分かりませんでした。

所長は在庫車が停まっている車庫の方向を指していました。

 

私は長期在庫の左ハンドル車を買うことになりました。

もちろんその後何年にも渡って高額のローンを払うことになりました。

しかも私の担当になった営業マンはその後しばらくして退職していきました。

保険をたくさん扱ってた彼の契約を切り替えようと思った私の当ても外れました。

 

皆さん、どう思われますか?

怒涛のゴルフコンペ

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当時のディーラー営業では年に2回ゴルフコンペがありました。

コンペ名は部長の名前を冠して〇〇杯という名称でした。

ゴルフが下手だった私には苦い思い出です。

 

ディーラー営業は接待営業の王道ですからゴルフがうまい人が多いです。

そんな中でゴルフ嫌いの若手の私は毎回ブルーな気持ちで参加していました。

でも不参加は体育会系の営業部では許されませんでした。

 

当時はまだバブル期の影響が残っていて1ラウンド4万円とか掛かりました。

様々なことでお金がなくなるディーラー営業ですが、この負担も大きかったです。

 

なかでも一番嫌だったのは毎回幹事をやらされることです。

コンペでは毎回優勝者とブービー賞が幹事をやることになっていました。

優勝者は上手な管理職の方です。

毎回の結果でハンデが決まるのですが、中にはマイナスの人までいました。

 

一方、ブービー賞と言えば経験の少ない若手の役回りでした。

私も相当ヒドかったのですが、どうしても下回ってくる先輩が1名いたのです。

この人、いつも160くらいで回っていました。

やむなく私は毎回ブービー幹事でした。

 

ところが優勝者の管理職がまともに幹事をやるはずもありません。

毎回日程の設定、コースの予約などいろいろ周囲にお伺いを立てて実施しました。

また優勝カップ、商品の差し入れの取りまとめなど準備も多くありました。

このあたりも営業ですから、内輪であろうと手抜きは許されません。

 

この準備のなかでも馬券対応というのが一番大変でした。

毎回競馬風に出走表を作成して周りの部外の人達にも売りに行くというものです。

 

ところがこの馬名作成が大変でした。

部内で盛り上がるような馬名を全員分作成してコメントもつけないといけません。

それを先輩社員に見てもらって承認をもらうのですが、GOサインはでません。

結局いつも深夜まで頭をひねりながら作っていました。

もちろん馬券の配布と集金、分配も仕事のうちでした。

 

当日はもちろん誰よりも朝早く起きて現場に乗り込みます。

受付作業を滞りなく実施するためです。

絶対朝寝坊できないプレッシャーは相当のものでした。

いつも4時半起きくらいだったと思います。

 

もちろんプレーは1組目です。

1組目は部長と同じ組ですので気が抜けません。

一度ラウンド中、談笑していたら、その間に部長がティーショット。

打ち下ろしのホールで池ポチャしてしまいました。

 

あからさまに「お前のせいだ」と言わんばかりのニラみ。

「あちゃー」と思いましたが、後の祭り。

その後暗いラウンドが続いたのは言うまでもありません。

 

18H終わったら一番先に上がって終了後のパーティーに備えます。

風呂なんて当然入れません。

集計作業が間違えることなんてあり得ません。

 

こうしてゴルフの1日が過ぎていきますが、

最後やっぱりブービーになったときの脱力感は半端ではありませんでした。

 

お陰さまでゴルフの幹事に関しては結構プロレベルになりました。

その後ディーラー営業も離れ、ゴルフの機会もめっきり減りました。

最近はたまに参加するコンペの仕切りに「甘いな」と思っています。

 

皆さん、どう思われますか?